医院名:医療法人真理恵会 田中彰クリニック 
住所:〒224-0003 神奈川県横浜市都筑区 中川中央1-37-9 TNKビル2F 
電話番号:045-914-6560

コラム

この10年ほど、地域誌に毎月載せていたコラムです。内容的に少し古い記事もあります。

2021.10.01

シルガード9(子宮頚癌の予防接種)

やっと、当院でも子宮頚癌の原因となるHPVの予防接種で、9価(イボに対して2つの型、頚癌の原因となる7つの型)のシルガード9が実施可能になりました。ガーダシル(いぼ2つの型、頚癌の2つの型を防ぐもの)より高性能です。国の方もやっと頚癌ワクチンに対して前向きになりましたので、公費無料であるガーダシルも再開(実はずっと前からずっと無料で継続して実施していましたが)することになりました。シルガード9は少なくとも3年くらいたたないと役所が無料化する対象にはならないかと思いますが、今、小学生の女児に対しては、今後、シルガード9が無料化するかもしれませんので情報収集をしていて下さい。

本当に頚癌ワクチンは結構しっかり効果が出ます。

これも筋肉注射のタイプですので、迷走神経反射(血圧下降・徐脈など)を注射して瞬時に起こし得ます。なので、当院ではベッドで注射して15分ほど横になっていてもらっています。その結果、誰一人として、気分が悪くなったりもしていません。コロナワクチンのアナフィラキシーの前に筋肉注射での迷走神経反射があった事例が報告されているようです。横になれば大丈夫なのですが…。

コロナワクチン接種に優先権がありますのでコロナワクチン2回接種後に頚癌ワクチンの実施を開始します。当院ではシルガード91回税込み29000円で実施しています(合計3回もしないといけないのです。はっきり言って高いです)。

また、インフルエンザ(チメロサールフリー)3500円で妊婦のみ対象で行ないます。

ワクチンのはなしばっかりで申し訳ないです。病気にならないためです。

2021.09.01

コロナのブレークスルー感染(2021年9月1日現在)

コロナワクチン接種して2週間以上たっているにもかかわらず、コロナに感染してしまうことをブレークスルー感染といいます。ブレークスルー感染の場合、気にされるのはかかってしまったらどうなるのか?ということですが、ほとんどの方が重症化しません。つまり、無症状だったり、軽い風邪症状だったりという程度が多いです。もちろん高年齢や非常に重篤な基礎疾患があると肺炎にいたったり重症化してしまうこともありますが非常に稀です。コロナ重症患者の98%はワクチン未接種の方です。2回接種して2日目にコロナを発症したという方は2回目のワクチン接種をする前に感染が成立してしまった方ですので、狭義のブレークスルー感染には相当しません。

じつはブレークスルー感染の本当の怖さは自分自身が重症化することではありません。先にも述べたようにワクチン接種済みの方はコロナに感染しても症状は軽かったりほとんど無症状になります。そのため自分自身がコロナ感染者であると認識できません。つまり自宅の中でコロナワクチン未接種の人(12才未満の子供など)がいると、ワクチンを打っていても感染してしまうとウイルスの排出量はそれほど減りきらないので、未接種の人にしっかり感染させてしまいます。お母さんがワクチン接種後1ヶ月くらいで風邪気味程度になって、その1週間後に自分の子供達がコロナを発症した例があります。調べると母親もブレークスルー感染でコロナ陽性になっていました。ワクチンのおかげで母親自身は症状がほとんどないのに我が子に感染させてしまっているという状況となったわけです。他にも同様のケースがあって、今年のお盆でじいじ・ばあばがワクチン打ったからといって会いに行った所、ブレークスルー感染中のじいじ・ばあばから子供家族がうつされてしまったという例もあります。もちろんみんなワクチン接種済みの人だけならブレークスルー感染を起こし合ってもほとんどそのグループ内では感染していることすら気づかない可能性があります。

まだまだ、色んな事がありますので注意しましょう。

それと妊婦の方は急いでワクチンを受けて下さい。当院では以前からワクチンのことを話していたので妊婦のワクチン接種率は9割ほどになっています。

2021.08.02

コロナ感染症(2021年8月2日現在)

当院においでになっている患者さんの6割り以上が少なくとも1回目の接種済みで

2回接種済みの方は4割以上になっています。

もちろんワクチン接種後だからといって確実に感染を防げるわけではありませんが、少なくとも未接種の方と比較すると明らかに感染しにくく重症化はしにくくなります。

コロナの病態レベルはインフルエンザと比較するとテレビでうまく言っていました。コロナの中等症はインフルエンザの重症レベルに相当しています。コロナの軽症はインフルエンザの中等症に相当し自ら行動することすらできなくなる方もいます(電話もできない)。

コロナの重症はインフルエンザで言う所の危篤状態といっていました。これはその通りだと思います。

コロナワクチンは完璧ではないですがゲームチェンジャーなので接種は絶対におすすめです。接種した人に話を聞くと接種後の副反応の話だけを伝える方も多く、実は接種後抗体が産生されたであろう時期の気持ちを聞きません。実はその時のほとんどの方の感想は「安心できた」と言っています。

以前にも話した通り、低用量ピルとコロナと血栓症の絡みについてですが、ワクチン接種済みの方から随時低用量ピルを復活させています。帰省分娩の際の帰省時の「2週間ルール」もワクチン接種済みの方は解除されつつあります。

ワクチンの他のメリットも伝えていた方が良いと思い、今回述べました。

ワクチンパスポートで経済回すのはだめなのかな?何故しないのか不思議です。

2021.07.01

コロナワクチン接種後

ワクチン接種後の副反応の話をマスコミではよくしています。実際、発熱や頭痛や倦怠感があったりしますがほとんどの方が一時的なものでしかありません。

実際にコロナになった場合の症状からすれば、ほとんど軽微なものでしかありません。

打った方にお話を聞く時、副反応のことばかりを中心に質問するのでその答えだけが集積しています。本当は、もう一つ質問をするべきなのですが、、、。それは・・・

2回接種後さらに2週間たった方にきくと抗体はしっかりついている状態ですので、その方に「いまの気持ち」をきくとほとんどの方が「安心できた」とか電車が怖くなくなったとか買い物にも行けるようになったなどなど、コロナ禍になる前の生活の気持ちになれたとおっしゃっています。

もちろん、ワクチンに全部頼っているわけでは無いのでまだ色々な防御策は採っていますが、気持ちの上で本当の意味での「安心安全」になっているようです(現在、安心安全という言葉は形骸化して本当の意味をなしていませんが)。

集団免疫も接種希望者にワクチン打てれば全人口の8割弱になるのでインド株(デルタ株)で無ければ収束に向かう可能性があります。

気持ちの上でも楽になれる副効用があることをお忘れ無く。

2021.05.29

コロナワクチン打ちました(2021年5月29日現在)

医療関係者としてワクチンの接種会を2回行ないました(72名に対して)。政府・マスコミは「自治体に任せている」・「自治体に!」といっていますが、実は「自治体」といっても医療関係者の枠は「都道府県」で、高齢者と一般市民向けは「市区町村」という縦割り管理にしたため、高齢者接種会場でワクチン未接種の一部医療関係者がその実施にあたるという不安な状況が作られています(医療従事者から接種しに来た人に感染する恐れという意味です)。予防接種にいったらコロナうつされたという危惧があると言うことです。感染対策はしていますが…。

ワクチンの副反応は公表されている通りで、特に、それ以上それ以下でもありませんでした。アナフィラキシーは起こりませんでした。

ファイザー社製(モデルナ社製も同様)はmRNA(メッセンジャーRNAと読みます。どこかの番組でエムRNAと読んでいたアナウンサーがいましたがすごく変です)ワクチンです。mRNAはタンパク質の設計図にあたるため、この設計図が身体そして細胞内に入り、細胞内でその設計図通りのタンパク質を作ります。今回のmRNAはコロナウイルスのトゲトゲ(写真で良くみるウイルスのトゲトゲのところです)の部分を作る設計図です。作られたトゲトゲは身体にとって異物なので免疫反応で抗体が作られて感染が防御されます(さらにはインターフェロンの誘導も起こるとされています)。ただ、mRNAは非常に不安定な物質なのでそのまま注射してもすぐ分解されてしまいますのでなんとかして細胞内にまでたどり着かせないといけません。そのため、mRNAを包む物質としてポリエチレングリコール(PEG)という物質を使います。PEGに包まれたmRNAは安定性がある程度担保されます(温度・振動には弱いけど)。それで細胞内に取り込ませています。このPEGという名前は仰々しいですが、市販の化粧品には結構の頻度で利用されていて身近なものです。これがアナフィラキシーの原因になっているのではないかといわれています。特殊な物質では無いのですが。ただ、接種会場ではアナフィラキシーの対策は十分されているので複数医療関係者がいれば対応は安心できるものになっています。

インド株のデータはまだはっきりしていませんが、それまでの変異株を含めて、mRNAワクチンの効果はほぼ95%感染しないし95%感染させない、さらに95%重症化しないですので、当院含め近隣の医療施設(ほかのクリニック数軒・調剤薬局数軒・歯科クリニック数軒含む)は接種済みですので医師が感染して更に患者さんにうつしてしまう可能性は5%の5%になりますので0.25%となります。ほとんど安心なレベルになりました。つまり、ワクチン接種済みの医療施設で医療従事者からのコロナ感染(発症する前の2日間、知らず知らずに患者さんにうつす可能性という意味)の可能性は非常に低くなっています。

最終的な決断は本人にお任せするしかありませんが、私は基本的にコロナのmRNAワクチンは推奨する気持ちでいます。とにかくmRNAワクチンは画期的なものです!

2021.01.26

コロナ下の受診行動

これを書いている時点は緊急事態宣言下です。皆さんがこの文を目にされるのは202129日になっていますので宣言は解除されているか、もしくは変異株のせいで、いったん終息に向かったにもかかわらず感染が急拡大しているかどちらかだろうと思います。前者であってほしいものですが。

産婦人科で見ますと不正性器出血があったり下腹部痛があったり外陰部のかゆみがあったりいろいろありますが、通常の外来時間帯に受診せずともコロナのないころなら夜中でも救急病院に連絡すれば何とかみてもらえていました。しかし現在は救急時間帯に救急受診しようとすると上記のレベルの疾患だと様子をみるように言われるはずです。つまり診察してもらえません。もしくは診察してくれることになっても発熱者とは分離されている状態にしてくれても熱のないコロナ疑いの方と距離は離してもらえても結構近距離で同席することになりえます。したがって日中に調子が悪い場合、例えば下痢とかでもひどくなって夜中に救急受診しようとするのはあまり良い選択ではないと考えます。現在はそれぞれどの科のクリニックも感染対策をしているはずで日中の受診は比較的安全と考えられますので、その時に受診するようにされたほうが良いと考えます。

実際、妊婦さんでない方ですが、夜中に下痢がひどくなったので内科のことなのですが救急で断られたからどうしたらいいですか?と当院婦人科に電話をくださった方がいらっしゃいました。基本的に難しい状態ですので、前もって対策しておいたほうが良いと考えます。

 

2021.01.21

コロナでみんなが誤解していると思われること

マスコミなどで一寸わかりにくかったり、意図的なのか不勉強なのかわかりませんが言葉のすり替えがあったりしてよく分からない事があります。まとめます。
・症状が出ない人が80%いて、人にうつさない人が80%いる。
これはよく混同されますが、この80%は同一人物では無く、症状が無くてもスプレッダー(たくさんの人にうつす人)もいます。同じ数字だったので混同しやすい。
・集団免疫をもてば鎮静化する。
たくさんの人が感染してしまえばかえって伝染しにくいといっている人がいますが、それはある意味言えていますが、後遺症のことを考慮せず話しています。後遺症の有無について未知数で今回のコロナは結構重症な後遺症を残している例があります。つまり、まわりの人に拡がりづらくなるかもしれませんが、感染した人の一部は一生後遺症をもったままになります。また、現時点ではコロナ陽性中、医療費は無料ですが後遺症に関しては健康保険証の比率で自己負担金がずっと発生します。
・心筋炎はどのウイルス疾患でも発症しているからコロナだけ取りざたしなくていい。
これもある部分は事実なのですが、今回のコロナの心筋炎は慢性化しやすく更に重症化している方もいるので、他のウイルスの微々たる心筋炎と混同して論じてはいけない。
・ペットからコロナはうつらない。
これも混同しています。犬が発症する(つまり犬が症状を呈する)コロナは人では発症しないというのは事実ですが、今回のコロナは保ウイルス犬となってその犬に舐められたりするとウイルスをもらってしまう可能性があります。可能性は低いですが大丈夫と言い切ることができません。
・ワクチンは・・・
会社が違うというというより、米国2社と英国1社はそれぞれ異なる免疫をもたせる方法のワクチンなので会社が違うというより「もの」が違います。それを踏まえて検討されるのがよいかと思います。今回の紙面では足りないので書きません。
1年前には「PCR」なんて言葉知らなかったけど,今はみんな知っていますよね。それと同じで他のことも理解しておく方がいいです。まだまだありますが不安で困ったときはクリニックなどで御相談下さい。

2020.12.21

コロナ禍下での妊娠

「コロナが流行っているのに妊娠して良いですか?」と聞かれることがあります。とある学会の会長が今年の4月1日に「このコロナの時期に妊娠をすることはいかがなものか」という提言を出されていました。小さなクリニックの院長の言葉でも医師である限り重く受け止められることがあるのに、妊娠に関わる学会の会長が提言として出されたことは、結構、影響があって「コロナでトイレットペーパーが無くなるかも」という妄言のため一時期何故かトイレットペ-パーが欠乏したのと同じで,先ほどのような質問に結びついている様です。今ではコロナと妊娠に関してはあまり言われていません。やはり大きな胎児奇形の話は出ていません。
ちなみに当院の個人的データでは妊娠された方の数は例年の130%弱位になっていて増加しています。不妊症の方もご主人がテレワークになって必死にタイミングをとるために最終電車で帰宅して、そのままガンバル!というのではなく、自宅にいるおかげでタイミングをとることに焦りが減ったとおっしゃっている方が多かったです。不妊症でない方も「何処も行きづらかったからやること無くて・・・」という方も多かったようです。
コロナ禍下であるのでもちろんなめてはいけませんが、妊娠も含めある程度は通常生活を維持しないといけないものはあります。この時期に妊娠された方に「あなただけが妊娠したのではなく、たくさんの方が妊娠されています。おめでとう!」と述べたいです。

2020.11.21

Go To トラベル

コロナは完全なる収束はしていませんが、とりあえず「Go To」シリーズが始まっています。色々な所に出かける方が増えてきました。いわゆる「3密」を防いで注意してお出かけください。
その際、月経と折角の旅行が重なることが不便のため、ここ最近、コロナ禍以前の頃と同様に「月経をずらしたい」という方がお見えになります。ただし、現在は以前と異なっている事があります。
言わずもがな、コロナです。以前にもコロナのため、通常のピル(OC・LEPとか)を安易に使用すると血栓症を発症する恐れがあるということを述べましたが、それと同じく月経をずらすためのお薬は中用量ピルに相当します。そのため、服用中に知らず知らずにコロナに感染していると血栓症発症の恐れが増加しうると考えられています。なので、できれば以前のように「ずらしのピル」は処方しづらい状況にあります。
コロナがない頃なら、旅行日程が先で、月経を後でずらすことを考えましたが、今後月経が来そうならば月経日程を考慮してから旅行日程を組むようにしてみたらどうかと考えています。
ただし、家族に女性が多いおうちは誰かが月経日程と旅行日程が重なってしまうので、それは覚悟しましょう(くじ引きをして決めるとかもありですが)。それでも薬というのなら処方は出來ないわけではありませんが・・・。

2020.10.21

コロナ禍下でのインフルエンザ予防接種

この数年間、季節関係無しでインフルエンザが流行していました。しかし、新型コロナの流行に伴い、マスク・接触管理などを行なっていたためと思われますが、この春先から夏場にかけてインフルエンザの流行がほとんどありませんでした。
医学的な見地で言えば、とあるコメンテーターの発言のように「インフルエンザはほとんど流行してないから、冬場も多分大丈夫なのでは?インフルエンザの予防接種の意義を見直した方がいい」みたいな発言をされていましたが・・・。推量に基づきその推量を基礎として更に推量を重ね合わせていくようなもので都合のいい解釈でしかありません。でも、インフルエンザの感染者は減る傾向であるのは十分考えられます。
一方、社会的見地から見てみると、別物になります。話は変わりますが、生命保険は入っていると必ずいつかは使うことになります(いつかは死んでしまうので)。しかし、他の保険はどうでしょうか?火災保険・地震保険・車の保険・病気の療養費負担の保険などなど、その状態にならなければお金は払っているけど結局発動しない保険になります。でも、入っている方が多いですよね。今回のインフルエンザの予防接種も同じです。かかる可能性は例年より少なめかもしれません。しかし、インフルエンザになってしまうとその先はどうでしょうか?まずは熱発者外来に行かないとだめになります。インフルエンザ外来ではありません。つまり、コロナ感染者と同じ扱いを受け同じ所での検査になります。熱がある人をひとっくくりにはしないでしょうが、通常の外来ではなく、発熱の人だけの場所に行かされます。内部ではそれぞれビニールシート(スーパーのレジの前で垂れているような)で境目をつけて、2m程の距離を置いて換気のよい所で待たされるでしょう。左隣の人が看護師に「昨日から味覚がないんです」とか、右隣の人が「息が苦しいです、まだですか?ゴホゴホッ」とか、そういう場所に、待たされます。多分・・・
お子様の予防接種の際、通常の時間帯にしていない小児科が多い理由は予防接種で来院してそこで却って風邪をもらうのが嫌だからです。同じようにあなた自身がインフルエンザ(検査結果後)であっても、発熱を起こす疾患のグループに置かれるのは当然のことになりますので、それを避けたいですよね?
従って、今年のインフルエンザの予防接種は社会的見地から接種されておいた方がよろしいのではないかと考えています。なお、当院では妊婦様用に確保したインフルエンザ予防接種(チメロサール無)分しかありません。

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