現在、新型コロナウイルス感染症が心配でならない状態です。医師そして産婦人科医の立場から述べます。一般的にコロナウイルスはヒトの風邪のウイルスとして普遍的に存在しています。ただ、ウイルスは変異するためSARSやMERSそして今回のCOVID-19という新型コロナウイルスが発生しました。基本的に変異が起こっても本来コロナウイルスがコロナウイルスであるゆえんを維持していてくれれば(未だ確定していない)、胎児には奇形発症の可能性はほぼ無いと考えています。ですので、ここからは妊娠の有無にかかわらず老若男女の感染について考えます。コロナウイルスは飛沫感染、接触感染が感染経路として考えられていました。飛沫感染は咳・くしゃみなどによる、唾液の飛散で感染が拡がります。「あっ!嫌だ、くしゃみされたから唾飛んできた」という状態です。危険な範囲は2m位までです。接触感染はその分泌物(特に唾液)が附着した状態もしくは附着した手であちこち触れた場所にしばらくウイルスが留まり、それを触ってしまった手を鼻口眼(眼瞼結膜からの感染も否定されてない)に持っていって感染します。ただ、新型ですのでどのような形で感染するかは未だ確定していないのです。今一番気になるのがエアロゾルからの感染です。空気感染は呼吸をしていればうつってしまうものです。エアロゾル感染は飛沫した唾液ではなく、霧状につまり目に見えないウイルスを含んだ微小水滴を吸引して感染します。空気感染なら、船に乗っていた方は全員感染してしまったはずですが、実際は全員ではありませんでした。では、飛沫感染か?というと、船もしかり、韓国の宗教団体の集会での感染もしかり、屋形船もしかり、飛沫ではそこまでの感染が広がれるとは考えにくいです。特に船に乗った内閣官房関連の事務官が感染したのはグリーンゾーンとレッドゾーンがとてもいい加減であったのでなければ(若干、混在していて変だと思いましたが)、エアロゾル感染でないと説明しにくいです。従って、新型である以上、想定外だったから・・・というのではなく、想定範囲を拡げて検討すべきです。つまり、エアロゾル感染は否定できない。そうなると、N95マスク(完全防備マスク)でないと、鼻の上や左右の頬の所に隙間が空いているマスクでは全く効果はありません。そしてそのようなマスクの紙(フィルタ-?フィルターとは言えないレベルですが)は簡単にエアロゾルだと通過します。百歩譲ってマスクで防御するなら花粉症が完全防備できるマスクとゴーグルを装着しないとだめです。隙間だらけのマスクは却って鼻や口の前面の紙に目に見えませんが色んなものが附着していてそれを触ってしまうと自分の手が汚染されます。
みんなの触る所も感染源になりえますので直接触れないようにしないといけません(エレベーターのボタン・ATMの画面のボタンなど)。当院では待合室のソファなどもアルコール消毒をこまめにしていますが、1分前に触れた人が感染者であった場合は防ぐことができません。そのため次亜塩素酸発生装置のZiaino(パナソニック製)を24時間動かして、できる限りの除ウイルスを行なっています。糞尿からの感染も否定できていないので(SARSは糞便からの感染がありました)、公衆便所の「便座や温水洗浄機」は要注意となります。医師の立場で見ていると、今回の公的機関の管理方法は非常にいかがなものかと思うことが多すぎました。個人旅行者はかまわないなどの目先のインバウンド収入の減少を抑えてしまったため、中国に次いで感染の可能性の高い国になってしまい、これから長期にわたってインバウンド減少は否めない。船から下船して、公共交通機関を使っていいと公表して翌日に下船した人個々に公共交通機関はできるだけ使わないようにと連絡してみたり、大丈夫と言われて下船した人が実は感染者だったとか、何をやってんだかわかりません。船に乗っていた方や他で感染した方、その家族、そのまわりの方々は何も悪くないのに、公的機関の管理が悪いとこのようなことになってしまい、どこに新型コロナがあるのかが分からなくなってきました。現在、東京などの大都市でも思ったほど感染者数がそれほどでもない数字になっていますが、実際はコロナウイルスの検出検査対象者に「縛り」をつけているため、検査を自由にさてもらえれば実際はもっとたくさんの方が既に感染している可能性があります。つまり検査したくても検査させてくれないから、COVID-19肺炎と診断されていないだけです。マスクは咳・くしゃみがある方は装着が必要です(中国でマスクマスクと言っているのは全員が感染者である可能性があるからです)。防御のためにマスクをするなら花粉症が完全防御できるレベルでほんの少し効果はあるでしょうが、隙間だらけのマスクならその脱着時の自分の手指への感染リスクの方が高いと思われます。私は帰宅したらすぐシャワーを浴びています。髪の毛などに附着している可能性があるからです。それと・・・スマホの画面は公衆便所の便座なみの汚染度ですので、帰宅して手を洗うのであれば、スマホの画面も消毒します(スマホを耳に当てて通話しているのは、公衆便所の便座に頬ズリしているのと同じです)。
安全と安心という意味で言うならば安全は医療関係者がしっかり管理して安心は政治・公的機関が管理すべきです。検査対象を限定したり、検査時期が10日以上前でも大丈夫と言ってみたり安心は全く担保されていません。安全についても大丈夫かと思っていましたが、個人情報保護という仮面の元、情報を押さえて全部不安になったり、各自注意するべき時・地域が不明になるのは不安だけでく安全でもなくなってしまいます(和歌山は断腸の思いでよくぞきっちり公表したかと思います。あのおかげでどこがグリーンゾーンでどこがレッドゾーンかわかるのでレッドゾーンにも分かった上で行けるため安心です。他のところで第Ⅰ例目をひた隠しにした結果、お祭りの担当者まで感染者が出て却って全部危険となってしまっているのと好対照です)。
インフルエンザウイルスは湿度が高いと不活化(死滅という意味)しやすいのですが。コロナウイルスについてははっきりしていません。湿度が高いと長生きするかもなど諸説飛び交っている状況です。ただ、あまりに乾燥させると我々の気道粘膜が弱くなるので通常の湿度は保った方がよいでしょう。ただ、ガラス窓に結露が出る程まで湿度を上げるのがよいかは不明です。また、エアロゾル感染が否定できていないとなると、空調システム内に留まることが考えられます。室温を下げないために循環型になっている可能性も有り、フィルターだけではほこりや花粉は防げても、ウイルスは防げない可能性が高いです。さらに、そのフィルターそのものがウイルスの温床になり得るかもしれません。船のセントラルヒーティングのシステムはどうだったのでしょうか?気になる所です。
皆さん気をつけましょう。自分とあなたの家族のためです。