今回は「はしか」の話。病気の話として「はしか」は正式には「麻疹」、「風疹」は「三日ばしか」ということになります。ですので「妊娠初期に検査しましたよね?はしかの・・・」とおっしゃる方が多いのですが、麻疹と風疹を混同されているだけです。通常妊娠初期に行なう検査は風疹であって麻疹(はしか)ではありません。
実は2007年に日本で「はしか」の感染が拡がった事があります。感染した方は10代から20代でした。その時、「はしか」の予防接種を受けとこう!といって受けた方はいいのですが、受けなかった人たちが今回(2018年)の感染拡大に寄与しています。結局、以前から約10年たっているのでの今の20代から30代(40代)が易感染状態となっています。一度も「はしか」の予防接種を受けていない方もいてモロに感染してしまっています。空気感染なので非常に簡単に感染します。産婦人科学会のHP上では流産・早産率の増加などが書かれていますが、風疹の胎児への影響ほどではないと私は考えています。ただ、新生児の麻疹患者の死亡率は他の年代より高率となってしまうため、乳児の「はしか」対策が必要となります。本来、母が麻疹抗体を有していると経胎盤経由で新生児は移入抗体のおかげで少なくとも3ヶ月は麻疹にかかりません。その後は母乳保育であれば母乳経由で経胎盤経由ほどではないけれど、麻疹の抗体を得られるのでかかりにくくなります。以前の麻疹の予防接種は1才を超えてからという根拠はこの母体からの移入抗体があると免疫がつきにくいからという前提でした。でも、そもそも母体に抗体がなければ麻疹には無抵抗の抗体無の母乳となるので乳児の麻疹発症を止められません。妊娠する前に調べて免疫つけるか、既に妊娠していたら、妊娠中の麻疹予防接種は不可なので産後直後に免疫をつけ母乳から抗体を授けるか、自費になりますが、生後すぐに新生児に予防接種をするしかありません。産後すぐのお母さんへの予防接種が良いと考えますが・・・。10年ほど前に騒がれたとき対応された方は今もしっかり抗体をお持ちで大丈夫なことが多いですが、その時スルーさせた人は今回非常に困っているようです。今回もスルーするとまた数年後に同じようなことが起こるかもしれません。麻疹の対応は今かかりつけの先生に聞いてみて下さい。
2019.10.04