当院では妊娠中期の頃にクラミジアDNAの検査を実施しています。クラミジアとは性感染症の一種です。おりものの変化や時々性器出血するなどがありますが、一番問題になるのが妊娠中の破水の原因となることです。もちろん、それ以外にも新生児影響がでることがあります。今回はこのクラミジア検査結果が陽性だった方への説明についての注意事項について述べます。
結果が陽性の時は、さらっと話してしまって「上記のことが起こりえるので妊娠中に使える抗生剤を処方しますからそれを飲んでもらえばよくなります」でいいのかもしれませんが・・・。実は結果を聞いた患者側からすれば感染「経路」に気持ちが捕らわれます。
クラミジアは性交渉でうつる病気です。そのため陽性になったときは夫が自分以外のだれかと性交渉をして感染したのを自分(妊婦)にうつしたんだと考えます。結果を聞いて帰宅後、夫に対して「あなたから性病をうつされたから赤ちゃんが危険にさらされているのよ!私が妊娠中なのに、あなた誰としたのよ!」(まるで最近よくあるゲス状態)と叱責してしまうことが多いです。そう言われた夫は泌尿器科に駆け込んで、すぐ調べたところ「陰性」とでて、さらに泌尿器科の医師がよりによって「あんた白、奥さん黒だね!」なんて無配慮な説明をしたため、今度は夫が奥さんに対して「なにもなかったぞ!君こそ僕じゃなく誰からクラミジアもらったんだ!それに、そのお腹の子、本当は誰の子なんだ!?」という最悪の状況まで行きつきます。完全な勘違いなのですが・・・。
実は、クラミジアは以前に調べたことがあれば別ですが、調べたことがなければ生まれてから今までのすべての性交渉のどれかで感染して症状もなく何年もずっと持っていることがあります。ですので、このことを結果報告の際、必ず医師が説明しておかないと、あたかもつい最近の感染であるという前提で患者は話の流れをすすめてしまうのでこのような無駄なもめ事がおこります。
ここで書いた話は実例で他の医療施設で言われて夫婦喧嘩になり、その後、当院に相談に来られた方なのです。折角の楽しい妊娠期間を悲しくさせたくありませんよね。困ったら、きちんとしたところで相談しましょう。
2019.10.04