妊娠中の超音波検査についてお話しようと思います。
一般的な流れでお話しすると予定の月経が遅れて市販の妊娠検査薬を使用して陽性になると妊娠の始まりです。現在の妊娠検査薬は1リッターの尿中に50単位のHCG(ヒト絨毛性ホルモン:将来胎盤になる組織の絨毛から作られます)があると陽性になります。検査薬の説明書には陽性になったらできるだけ速やかに産婦人科に受診するように書いてあります。一方、産婦人科では妊娠反応が陽性であった方も経腟超音波検査で診察しても、GS(胎嚢:赤ちゃんの入っている袋)が子宮内に確認できない事があります。というのも、GSが最も早く見えるのは1000単位/リッターを超えないと見えてきません。私も説明で早くて1000単位。2000単位あるのに見えないとちょっとまずい。4000単位あるのにGSが子宮腔内に見えないと正常妊娠はありえないという説明をしています。したがってHCGの検査キットの説明書通りに受診するとGSが見えなくて来院するのが早すぎるといわれる事があります。しかし当院では早すぎても来院されることを勧めています。というのもGSが見えていなければ血液中のHCG定量検査を実施し、その数値によって予後の判定に役立つからです。したがって未だGSが見えない段階でおいでになっても「子宮外妊娠の可能性がある」とは言わないし「正常妊娠かどうかわからない」というような説明はしていません。正確に言うと、回りくどいですが「子宮外妊娠などの異常妊娠を否定することができていない状態」「正常妊娠ですと宣言することが未だできていない状態、もうちょっと待とうね」という説明をしています。外人の患者様にもその際、このことを説明するのですが、非常に回りくどい表現なので英語で説明するのが大変です。でも、良くこの状態で他院において「赤ちゃんの袋、未だ見えないからなんともいえないねぇ」とさらりと流されて不安になって転院されてくる方がいらっしゃいます。ちゃんと説明してあげればいいのに、せっかく妊娠の開始時期なのに超不安な状態にさせることはないのになぁと思ったりしています。
とにかく妊娠反応陽性なら「第1回目おめでとう!」です。(おめでとうは何回もあります。結婚披露宴と一緒です。入場やケーキカットやお色直しや何回もその度に「おめでとう」でしょ?)
2019.10.04