医院名:医療法人真理恵会 田中彰クリニック 
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コラム

2019.10.04

2011年5月 妊娠中の超音波検査(第6回目おめでとう)

妊娠10ヶ月(妊娠36週以降)になるとお腹はせり出してきて、どっこいしょ・どっこいしょと歩いているように見える方もふえてきます。もうすぐお産です。推定体重は週数どおりで十分な発育、胎児は逆子になっていなくて、頭位であること。子宮頸管長の測定は意味がなくなってきて、逆に子宮口が開いてくるのが「ほめ言葉」になってきます(もっと早い時期だと頸管無力症として治療対象になりますが)。前置胎盤はないことはとっくに確認済みで、後は何を見るのでしょうか?
じつは羊水量が非常に重要なのです。妊娠中期までは羊水量は胎児の奇型などの異常を知らせる因子と成りますが、この妊娠末期になってきますと羊水量の減弱が重要となります。妊娠末期の羊水量は胎児の尿(老廃物無)の排泄で供給され胎児がそれを飲み込むことによって消費され、in-out のバランスが取れています。食道奇型や髄膜瘤などの奇型がなければ(あればもっと早い週数からわかっている)脳の反射で羊水は飲み込まれていますので一定量で消費されます。一方、尿の排泄はあくまでも胎児の予備能力に頼っている状態で胎盤機能が悪くなって胎児への栄養分の渡しや酸素の渡しが下手になってくると胎児は潜在的胎児仮死状態になります。そうするとあくまでも胎児の生体活動の余禄(車でいう所の暖機運転みたいな意味です)で尿を作っていたので胎児の心拍が遅くなったり発育が悪くなったり胎動が減ったりする前に、尿をあまり作らなくなるので結果的に供給が減って羊水量が減ってしまいます。したがって羊水量が減ってくることは潜在性胎児仮死の可能性を疑わせる重要な指標になります。そのため10ヶ月になってからは楽しい気持で生まれてくる子供の体重を測定してもらって、じつは羊水量(AFI index)を測定し胎児が元気である確認をすることが超音波の主たる役目になります。羊水量だけですべてのことはいえませんが、重要であることだけは間違いありませんので、10ヶ月になってからの超音波検査は毎週欠かさない方がいいと考えます。本当に抱っこするおめでとうはもうまもなくです。
(今後、原子炉からの放射能のことでさらなる話がでたときはまた放射能について書きます)

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